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高齢者の賃貸について思うこと

空室対策

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先日、73才の女性の方のお部屋探しのお手伝いをさせて頂きました。
超高齢化社会へ向かっているこんな時代にも関わらず高齢者・シニア層の独り暮らしが出来るお部屋はかなり限られています。
人生100年時代、60歳以上でもまだまだ働き元気で自立した生活を希望されている方は増えています。
「いずれは老人ホームのような所を考えているがまだ息子たちの世話になりたくない」という方が年齢制限で賃貸物件を借りれない。
そんな今、高齢者向け賃貸があれば入りたいと思うのは当然の流れです。

高齢者への賃貸契約のリスクを理解しリスクヘッジが出来れば、オーナー様の空室問題解消・高齢者の住宅確保でお互いにwin-winな関係になります。

■高齢者・シニア層に部屋を貸すメリット。
大きいメリットが2つあります!

①部屋が決まり易くなる。
高齢者・シニア層に貸してくれる物件は市場に少なく紹介回数増加、数少ないライバルとの競合になり選ばれる可能性が高まります。
また1階など一般的に不人気のお部屋も高齢者にとってはメリットがあり成約しやすい点も魅力です。

②長期入居が望める
年齢制限で部屋を借りる際になかなか物件を紹介して貰えず苦労されて入居しています。次が見つかりにくい事を借主様が十分認識されており退去されません。
入退去の入れ替わりが少ない分、退去改修費用や仲介手数料なども節約できて賃貸経営が安定します。

部屋が決まり易くなる・長期入居で入れ替えが少ない、この2点は賃貸経営にとって大変魅力的な内容です。

■高齢者・シニア層に部屋を貸すリスク
①孤独死(原状回復・事故物件)
②認知症(入居トラブル)
③相続(相続放棄・解約)
④残置物(撤去費用)

主に上記問題が高齢者に部屋を貸す事で起こる問題です。
このリスクをある程度回避する事が出来れば、高齢者入居のメリットである、空室の減少・長期入居での賃貸経営の安定の恩恵を受ける事が出来るようになると思います。

①孤独死のリスク
単身高齢者に部屋を貸した際のリスクとしてまず1番に思い浮かぶのがこれです。
お部屋で借主が亡くなり発見が遅れた場合には、遺体は腐乱しお部屋の中はかなり酷い状態となります。
この原状回復と次回以降の入居募集の際には心理的瑕疵有の事故物件となり客付け困難や賃料の低下というリスクがあります。

【解決策】
特殊清掃が必要で莫大な費用がかかる原状回復も、心理的瑕疵有の事故物件となる事も、亡くなってから発見までに時間がかかり遺体が腐乱してしまった事が問題です。
孤独死をされても同日、翌日に発見し腐乱を阻止出来れば通常の原状回復で、自然死とし事故物件扱いにもならない事になります。
例えばホームヘルパーが最低でも2日に1回訪問する環境を整えるや、有償の見守りサービスを利用してもらう事を契約条件に入居を認めましょう。
見守りサービスでは初回に数万円、月額数千円で毎日健康状態の確認や、センサーでの見守り、セコム連携の火災報知器設置、緊急時の応急ボタンの準備をしてくれるサービスもあります。
サービスを利用する事で一命を取り留めるなんて事もあるでしょうし、お互いにとってメリットのあるものです。

②認知症のリスク
現在の日本では65歳以上の認知症は16%、85歳以上は55%と言われています。
この確率は正直だれがなってもおかしくないレベルの確率です。
入居後に認知症となり室内で叫んだり近隣住民への迷惑行為等が発生すると他の入居者の退去や、火の不始末での失火、室内のゴミ屋敷加、マンション内での徘徊や排泄、賃料の支払い忘れでの回収困難など、多くのリスクが存在します。
正直な所、孤独死のリスクよりリスクヘッジが難しく恐ろしいと感じるのがこの認知症のリスクです。
高齢者を保証人なしで入居させて認知症になった場合、賃料滞納や上記トラブルがあり裁判所から明渡の判決を貰ったとしても、この入居者は次の物件が見つかりませんので、実際には強制執行もなかなか行えないとの話です。
結局オーナー様が泣き寝入りする事となります。

【解決策】
推定相続人に当たる息子さんや娘さんまたは近くに住む親族に身元引受人になってもらいましょう。連帯保証人でもいいでしょう。
そしてプラス保証会社の利用まで出来れば更に良いです。
身元引受人には、書面で

・入居者が単独で生活する能力を喪失した場合には転居先を提供してもらう事
・近隣住民への迷惑行為が判明した場合には指導・解決してもらう事

以上について承諾書をもらうと良いと思います。
ここの身元引受人が居ない場合は受け入れしない方が無難でしょう。

③相続のリスク&④残置物のリスク
賃貸借契約は借主が亡くなった際には相続されます。
契約者がおばあちゃんで亡くなられた場合、その相続人が賃貸借契約を相続するので亡くなっても契約は終了しません。
これの何が問題かと言うと、相続人がさっさと賃貸借契約を解約してお部屋の荷物を撤去し部屋を返してくれれば問題ないのですが、亡くなったおばあちゃんの財産がほとんど無い場合や明らかに負債が多い場合には相続人全員が相続放棄をする可能性があります。
そうなった場合、相続人は誰も解約手続きを行わない…部屋の荷物を撤去しない…家賃を払わない…なんて事は普通に発生します。ご家族も「私は相続放棄をするから関係ないわ」って人だけではなく、勝手に被相続人の財産(残置物)や権利を処分すると相続放棄が出来なくなる可能性があり、そのままになってしまいます。
当然、オーナー様にもこれを勝手に処分する権利はありません。

こうなると家賃は入って来ない…部屋も帰ってこないし次の募集は出来ない…部屋の物を勝手に処分する事も出来ない…と最悪の事態に陥ってしまいます。
正規の手続きを行う場合には家庭裁判所を通して費用・手間・時間をかけて手続きを行い残置物を処分し部屋を返してもらいますが、残念ながら全員が相続放棄するようなケースではその費用は取り返せず泣き寝入りする事となる可能性が高いです。

【解決方法】
一般の賃貸マンションでこのリスクを回避する方法は契約者を息子にして入居者をおばあちゃんで契約する方法がオススメです。
これであれば亡くなられた後も契約は続き、契約者の息子が責任を持って残置物を処分し部屋を返すまで賃料が入ってきます。
この方法であれば賃貸借契約の相続は関係ありませんので、解約できない…賃料が入ってこない…残置物が処分されない問題は回避できます。

ここまでお読みいただき、これまで高齢者への賃貸を何となく拒否していた方はリスクが見える化されたと思います。
超高齢化社会で空き家問題も騒がれる昨今です。高齢者の方でもご家族の協力があるようなケースであれば十分受け入れを検討しても良いと思います。
特に今の高齢者・シニア層のお客様は本当にまだまだ元気な方が多いです。生活のマナーも良くクレームも少ない方も数多く(当然人によりますが)長期入居頂ける事も多いので安定した賃貸経営に繋がりやすいと思います。
問題を具体化しその対応策を準備することで、多少の空室対策になりえるのではないかというお話でした。